食品衛生法改正で一般飲食店でもHACCPの基準(簡易)が必要になってくるのですが
そもそもハサップとはなんでしょうか?
目次
ハサップの起源
HACCPはNASA(アメリカ航空宇宙局)が開発した宇宙食などの食品の安全を確保する方法(システム)です。
なぜ、NASAがこのシステムを開発したかというと宇宙では、地上とは違い食中毒が発生した場合、治療する手段が限られ、医療機関への搬送も出来ません。そのために100%に近い形で食品の安全性を確保する必要があったからです。
従来の抜き取り検査では・・・100ある製品の内、無作為に一個選んで検査をし、異常がなければ残り99個の出荷を認めてしまうという不確定のものであり、安全性に問題がありました。
HACCPはこのリスクを抑えた上で効率よく製品の安全性を確保する仕組みを備えています。
このNASAのアポロ計画の後に、国連のCodex 委員会(※国際食品規格委員会)により導入が進められ現在、世界的にHACCPは導入されています。
※FAO(国際連合食糧農業機関)及びWHO(世界保健機関)により設置された国際的な政府間機関であり、国際食品規格の策定等を行っています。
(厚生労働省HPより抜粋)
ハサップの定義
HACCPとは・・・
ハザード アナリシス アンド クリティカル コントロール ポイント
直訳すると 「危害分析」 に基づく 「重要管理点」 と言う意味です。
HACCPシステムは原料の仕入れから商品の出荷・販売までの工程において、その商品の特性に応じ、重要な工程を確実に管理することで安全性を保障するシステムのことです。
例えば、クッキーを作る場合
「小麦粉」「砂糖」「バター」で生地を作ります。ここで微生物が入る可能性がありますよね?
生地を適当な大きさに切ります。ここでも微生物が入る可能性はあります。
ただ、最後の焼く工程で微生物は死滅しますよね?この危害要因(微生物)を確実に阻止すべき重要なポイントが重要管理点になります。
代表的な危害要因とは3つあります
1、生物的要因
「微生物」、健康被害の約9割がこれにあたります。食中毒の原因です。
O-157、ノロウイルス、アニキサスが有名です。
こうした生物的要因で一番困るのが「交差汚染」です。
例えば、鶏肉を切った包丁を洗わずにそのまま放置していると別の従業員がそれを知らずにその包丁で野菜を切ってサラダを作ったとしたら・・・そのサラダは鶏肉についていた微生物が付着する可能性がありますよね。
2、化学的要因
アレルゲンの物質、農薬、洗剤がこれにあたります。
3、物質的要因
異物が混入する可能性があります。金属片、カッターの刃、コンベアのゴム片が食品に混ざってしまうと、口の中を切ったり、のどがつまったりします。
重要管理点とは:Critical Control Point
食品の安全性に対する危害要因を防止・排除できる レベルにまで低減するために管理が必須である工程のことです。
例では O-157の菌を死滅させるには、75°Cで1分加熱すると0になります。
重要管理点とは・・・工程ずつに危害要因を分析します。そこで製造工程の中で特に重要な管理点をみつけて監視することでリスクの源を予防することができるということです。
① 微生物→加熱
② 化学物質→原材料の吟味、製造過程の監視
③ 異物→金属探知機
食品衛生を担保する上でもっとも重要な工程「重要管理点」を見つけ、それを管理することがHACCPの要となります。
衛生管理計画とは
一般的な飲食店でこのハサップが導入されると
本格的なHACCPのように細かく温度計で加熱温度を測り、一つ一つ提供する商品を金属探知機に通していては商売になりませんよね。
「ハンバーグを1食作るごとに、温度をイチイチ測っていられない」
・・・加えて、飲食店さんだと、メニューが50~70と多くそれをいちいち製品説明書を書いて記録管理というのは無理があるでしょう。
そのため(簡易)B基準ではA・B・Cグループのように大まかな調理方法に沿って料理を分け、管理する方法がとられます。
今後予想される一般飲食店の申請書は
いままで申請書一枚だったものが、関係書類が増えるわけです。
ただ大変なことだけではなくメリットもあります。
ハサップ導入のメリットは
衛生管理体制を見直し、食中毒対策が進む。お客様に対して、安全な料理づくりをアピールきるということです。飲食店はなによりも衛生管理が重要です。
提出期間はいつでしょう
提出猶予期間が平成32年3月31日から平成33年3月31日が予想されています。